森琴石(もりきんせき)1843~1921
Google WWWを検索 森琴石.comを検索

森琴石 調査情報

平成10年10月~現在まで、森家での調査などをご紹介します

■調査情報 平成18年(6月)

【1】

「森琴石先生薦事図録 注1」が、大分県中津市にある耶馬溪図書館の「耶馬渓文庫・和書部 注2」に所蔵されている。耶馬溪文庫には、故「小野積(号桜山)」が全国を周遊して蒐集した一万冊もの貴重な和書漢籍類が収められている。蒐集の一部には、小野桜山が中国より持ち帰った図書が含まれている。

「森琴石先生薦事図録」は、大正14年4月、森琴石の妻「ヤス」の出身地である鯖江で開催された「第5回忌追幅展覧雅筵」での模様を、高弟の「近藤翠石」により著出版されたもの。

小野桜山は広島の出身で、阪谷朗廬 注3藤澤南岳に漢学を師事し、南画・篆刻・茶道に通じる文人で、耶馬渓の風物人情に魅了され、耶馬溪に永住した 注4

「耶馬溪文庫(漢籍・和書)」には、画家「田能村竹田」、儒学の「廣瀬旭荘・淡窓」、森琴石の兄弟子「行徳玉江(貫)」や、森琴石の周辺の人物、「近藤元粹(南洲)」・「王 冶梅(王  寅) 注5」・「水越成章」・「石橋雲来」・「橋本海関」・「田結荘斎治(千里)」・「吉嗣拝山」などが含まれ、他にも当HPでも名を出す、多数の著名人の書誌が収蔵されている。

同文庫には、響泉堂刻・山崎昇編「円機活法」が含まれており、他にも響泉堂刻の書誌が存在する可能性がある。刊年不明・著者名無しの「墨香画譜 (巻3のみ)」が含まれ、次のリスト書誌が「王 冶梅(王 寅)」の、「冶梅画譜」であることからも、森栞石著「墨香画譜 注6」の可能性がある。

同文庫が所在する大分県中津市は、平成18年5月 【4】でご紹介の「福澤諭吉」・「中上川彦次郎」・「朝吹英ニ」の出生地で、森琴石と交流がある「武藤吉次郎」は中津藩士で、慶應義塾卒生である 注7。 平成18年3月 【2】でご紹介した「断魚溪題詠集」では、中津藩士「阪 募」が一首詠じている。

 
 
注1
 

「森琴石先生薦事図録」=近藤翠石著(大正14年5月7日発行)

「森琴石第五回忌 追福雅筵 並 遺墨展覧会」 概略

 

開催場所:「若竹楼」(福井県鯖江市) 鯖江は森琴石妻ヤスの出生地
開催日時:大正14年4月12日 午前9時~午後4時
式次第:遺墨展観(12幅)・煎茶席・揮毫席・浅酌席・景品席(絹絖小品76幀)など
末尾には「若竹樓夜宴の記」が4頁にわたり綴られている


 

「森琴石先生薦事図録」より

煎茶席 次第
第三席:揮毫席=近藤翠石画
煎茶席 次第( 次、次々頁へと続く )
第三席:揮毫席=近藤翠石画

 

追悼雅筵での記念写真

追悼雅筵での記念写真

左より: 森 ヤス ・西藤加津・ 近藤翠石 ・西尾雪江・ 北村 直 ・北村勉三 
琴石妻
琴石孫
門弟
門弟
ヤス弟
直の長男
   
*妻ヤス(3度目の妻・子なし)と鯖江については「平成13年11月」に記述があります。*第一席の煎茶席は、掛幅に、富岡鐵斎画「観世音」が飾られた。
*浅酌席では「清風与平」作「青磁香炉」が使用された。→「平成15年7月
*孫の加津が「琴思」の号で、二点揮毫した。加津は大正13年1月に結婚しており、この追悼雅宴は結婚1年後になる。加津に関しては「平成16年4月」に記述があります
*「森琴石先生薦事図録」は神戸市立博物館にも所蔵されている。
 
注2・注4
  「耶馬溪文庫」及び「小野翁山」については
 耶馬溪文庫蔵書目録  より下記をご覧ください

■写真・図版 / 序文 / 「耶馬溪文庫」とその周辺=九州大学名誉教授 荒木見悟氏 / 凡例 / 奥附
■漢籍・和書
「森琴石先生薦事図録」は、和書の部、分類2-21-1 番号27=最末尾より22番目に記載

 
注3
 

阪谷朗廬(さかたに ろうろ)=岡山誠之館での人物紹介をご覧ください

当HPでの「阪谷朗廬」記述箇所

平成13年8月■2番目」・雅友・知友「池田正信」の漢学の師。
平成16年11月 ■2番目 注6

 
注5
  王冶梅(おう やばい)=「清国人の書簡」・「平成17年4月■3番目」・「平成17年10月■3番目」など
 
注6
  森栞石著「墨香画譜」=「平成18年5月 【1】」に記述しています。
 
注7
  「福澤諭吉」・「中上川彦次郎」・「朝吹英二」=「中津市の多くの偉人たち ■慶應義塾」(中津市教育委員会)をご覧ください。
   
   
【2】

平成18年4月」にご紹介した、森琴石著「大日本海陸全図 全」が、米国カリフォルニア大学、バークレー校にある「東アジア図書館」に収蔵されている。

同大学の「東アジア図書館」は,全米でも有数の日本語資料コレクションを持ち、その中には,戦後日本から渡った十万点に及ぶ三井家旧蔵の三井文庫本が含まれる。

その中には、三井宗堅(たかかた1882-1950、新町三井家第9代)が収集した、江戸時代から明治にかけての日本古地図2,298点が含まれており、1949年にカリフォルニア大学が三井家から入手し、「The Japanese Historical Map Collection (日本の古地図コレクション)」と名づけられている。

 
 
 

上記の詳細は、下記アドレスよりご覧ください。

○カリフォルニア大学バークレー校
  東アジア図書館「日本の古地図コレクション」
    Japanese Historical Maps from UC Berkeley

* このコレクションの中から、1100点以上の地図や本の画像が表示されるそうです。お試しください。

○国立国会図書館
  ≪ カリフォルニア大学バークレー校  「三井プロジェクト」 ≫
    http://ndl.go.jp/jp/library/current/no119/doc0003.htm

 

森琴石の同地図が三井家に旧蔵されていた由来は不明だが、森琴石の長男「森雄次(森雄二)」は、書が巧みで、三井銀行に任務中、銀行の祐筆係を兼務、三井家の婚礼の目録などを書いていた。三井銀行に関しては、平成18年5月【4】に記述しています。

   


HOME
Copyright (c) 2003 morikinseki.com, all rights reserved.